行きたい温泉を調べていると「日本三大薬泉」というワードが出てきました。
「なに?!薬泉ですと?!これは薬剤師としては把握しておかなくては。」
使命感にかられGoogle先生に聞いてみたところ、いくつか解釈があるようでした。
日本三大薬湯とは?
出典は調べることができなかったのですが、今認知されているのは、
・草津温泉(群馬県)
・有馬温泉(兵庫県)
この2つに加えて、三つ目は解釈が分かれているようで、以下の二つが出てきました。
・松之山温泉(新潟県)
・塚原温泉(大分県)
それぞれどのような温泉なのか見てみましょう。
草津温泉(群馬県草津市)
江戸時代の温泉番付で、当時の最高位である東大関に格付けされたことのある草津温泉は,
日本三大名泉の一つとしても有名です。
源泉の数は大小100ヶ所以上を誇り、その多くはpH1.7から2前後の強酸で万能の湯として愛されています。
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)(酸性低張性高温泉)
草津温泉観光協会ホームページより
おおお、泉質だけで情報が多いですね。環境省が定めている療養泉の中で、単純温泉、酸性泉、硫黄泉、硫酸塩泉、塩化物泉に該当する温泉です。
pH2.1はレモン汁と同程度の酸度。特に硫黄濃度が7.1mgと高いです。十分濃度が高いとされる療養泉の基準が2mg以上であることを考えると3.5倍です。
残念ながら飲泉所は設けられていませんが、硫黄香る温泉街を散策するだけで楽しいことでしょう。
有馬温泉(兵庫県神戸市)
有馬温泉も草津温泉同様、江戸時代の温泉番付で西大関に格付けされた日本三大名泉の一つです。
有馬温泉の特徴は2つの有名な源泉があること。
「金泉」と呼ばれる茶褐色の濁り湯は含鉄・ナトリウム塩化物・強塩泉でとてもこゆい温泉。
もう一つは、「銀泉」と呼ばれる透明なラジウム泉と炭酸泉です。金泉にくらべてさらりとしています。
泉質:(金の湯)含鉄・ナトリウム塩化物・強塩泉
有馬温泉観光協会より
(銀の湯)ラジウム泉と炭酸泉
二つの源泉を合わせて単純性温泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、放射能泉の7つもに該当しています。
銀泉は飲泉OKなところも嬉しいところ。
銀の湯に引かれた炭酸泉とラジウム泉のうち、炭酸泉の方を飲むことのできる飲泉所があります。
松之島温泉(新潟県十日町市)
松之山温泉は新潟県にあり、冬には積雪が4mを超えることもある豪雪地帯にある温泉地です。
温泉の特徴は成分濃度とくに塩分濃度がとても高いこと。
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 (高張性弱アルカリ性高温泉)
松之山ドットコムより
塩の濃度とホウ酸の濃度が高いことが特徴です。
泉質だけでなく、温泉の起源も特徴的で、源泉は90℃ほどの高温ですが火山性ではなく、
約1200万年前に地層に閉じ込められた化石海水だと言われています。
その水が高い圧力で高温で噴き出す、「ジオプレッシャー型の化石海水温泉」とのこと。
ジオプレッシャーは初めて聞く単語なので是非ブラタモリで特集してほしいです。
飲泉の許可は得ていないようです。
塚原温泉(大分県)
草津、有馬と三つめは塚原温泉だとも言われています。
塚原温泉の源泉は、活火山伽藍岳の中腹(標高約800m)に位置している火山性の温泉です。
泉質:酸性・含鉄(Ⅱ,Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩泉
塚原温泉公式サイトより
塚原温泉は、強酸性の温泉で、秋田の玉川温泉のpHは約1.2に次いで第2位のpH1.5です。
ちなみに、レモンのpHは2.1なので、どれほど酸性が強いかがわかります。
酸性度が強いだけでなく鉄イオンの含有量は全国一位の456mg!温泉とよばれる基準が鉄イオン10mg以上なので45倍もの含有量です。(療養泉の基準が20mg以上なのでまさにけた違い。)
さらにアルミニウムイオン含有量は295mgで全国第2位です!
とてもこゆい温泉ですね.
飲泉も可能で、鉱泉水も販売されています。
(強酸性のため飲む場合は十分薄めて飲んだほうがよいでしょう。)
日本三大薬湯まとめ
・草津温泉(群馬県)
・有馬温泉(兵庫県)
・松之山温泉(新潟県)
・塚原温泉(大分県)
調べてみても三大薬泉がいつどのように決められたかはわかりませんでした。
どの温泉もとても成分量が多く、特徴的な温泉です。
西洋薬が今ほど使われていない時代から、薬として大切にされてきた温泉に是非浸かってみたいですね。