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薬剤師ぷふまる
旅と温泉が好きな薬剤師です。
温泉はとくに炭酸泉が大好き。泡が付けばつくほど喜びます。

このブログでは、温泉の中でも温泉水を飲む「飲泉」に注目して、薬剤師目線で書いていきます。

温泉の色を決めるのはどんな成分なんだろう。

アイスランドのブルーラグーン

無色透明、コバルトブルー、エメラルドグリーン、ミルキーグリーン

プリトヴィッツェの写真を見返していて、なんて綺麗な色なのかと改めてドキドキしました。

見返しながら思ったのは、この水の色や温泉の色合いがどのように決まるのか、ということ。

目次

湖の色合い

プリトヴィッツェ国立公園の湖群は、石灰華(石灰質堆積物)の働きで川に自然のダムが造られたことで生まれました。
ミネラルや有機物の含有濃度、日光の角度によって絶え間なく変化する水の色が森の緑と一体化し、壮大な景観を作り出しています。

また、北海道の中央部、美瑛町にある「青い池」もミルキーブルーの色合いで人気の観光スポットです。
青い池は美瑛川の澄んだ水に、アルミニウムを多く含んだ地下水が混ざることで青色になると言われています。
水中に漂ったミネラルの成分は太陽の光を散乱させ、
短い波長の光となって私たちの目に届くので、鮮やかな青色に見えるようです。

温泉の色合い

温泉には無色透明のものと乳白色や赤褐色などの色のついたものがあります。
温泉の色はどのように決まるのかについてまとめてみました。

温泉の色は主に以下になります。

  • 乳白色
  • 緑色
  • 赤色
  • 青色
  • 黒色

温泉の色味は、湧出した時から色がついているものと、
湧出したときは無色で時間の経過で色づいていくものと大きく2種類があります。
また、色味と透明度の2種類の指標があります。

成分分析表の知覚的試験では温泉水の色、清濁、味、臭いについて、
道具や試薬を使わず人間の目、舌、鼻という知覚で試された結果を表しています。
色、清濁では例としてこのような表現があります。

色味:無色、黄色、赤褐色、淡黄色、など
清濁(透明度):澄明、微混濁、など

温泉の色は、成分のなかでも特に水に溶けない不溶性の化学成分が大きくかかわっていると考えられています。
地中から湧出した温泉が空気に触れて成分が変化していくことによって色が変化したり、
光の反射や屈折、吸収によって変色して見えたり、
成分の細かい粒子が温泉水中を浮遊していることによって色づいて見えるなど、
いくつかの理由が明らかになっています。

乳白色の湯

白濁:硫黄コロイド

温泉が乳白色に色づくのは最も多い例として、硫化水素ガスを含む硫黄泉が挙げられます。

温泉に含まれる硫化水素ガスが空気に触れて酸化し、
硫黄コロイドという微粒子が生成されます。
この硫黄コロイドに太陽の光があたることで白く見えます。
酸性が強いほど白濁が強くなります。

緑色の湯

緑系: 硫黄コロイド、酸性鉄泉

緑色系の温泉は、透明度の高い澄んだ緑色や不透明な緑褐色などがあります。
中性からアルカリ性の硫黄泉で硫化水素を含むものは黄緑色になる場合があるようです。

また、酸性鉄泉は旧泉質名を「酸性緑ばん泉」といい、透明度のある淡い緑色をしているようです。

赤色の湯

赤からオレンジ:鉄分

赤やオレンジに濁るお湯は含鉄泉に多く見られます。
その理由は鉄分の酸化のためて、鉄が錆びることと同じ原理です。

鉄分を多く含む湯は湧出した時は無色透明のものが多いのですが、
空気に触れることで鉄分が酸化し、茶褐色や赤色の湯になります。
赤褐色の沈殿物は水酸化第二鉄であることが多いです。

微弱酸性から中性、アルカリ性の温泉ではこの現象が見られることが多く、
酸性が強いと鉄の沈殿は起こらないようです。

青色の湯

青み:シリカコロイド

温泉が青みがかるのは二酸化ケイ素(シリカ)によって醸し出されていることがあります。
湧出時は無色透明で時間をかけて徐々にシリカコロイドが形成されて青色になると言われています。

黒色の湯

黒:モール泉、ヨウ素泉


温泉の中には、「モール泉」と呼ばれる植物起源の有機質を含んだ温泉があります。
有機質にはフミン酸やフルボ酸という物質(植物が微生物に分解された物質)が含まれており、
この成分の濃度によって透明感のある茶色や黒色のお湯になります。
この有機質を含む源泉は湧出した時点で黒色から琥珀色に色付いています。

黒色になるもう一つの要因として「ヨウ素」があげられます。
ヨウ素イオンが酸化すると薄茶色に見え、ナトリウム-塩化物泉でヨウ素が含まれる場合には黒色になります。

温泉の色の変化を楽しむ

温泉の色は空気に触れて成分が変化していくことによって色が変化することがあります。
温泉の成分によっては、成分が空気に触れて時間がたつにつれ、
くっつきあって沈まないくらいの小さな粒子になります。
この小さな粒子を「コロイド」といいます。
温泉に入りながら徐々に色が変わっていく様子を見ると、不思議な現象にこころがときめきます。

成分のほかに温泉の湯色に影響するのが「光(太陽光)」です。
温泉の成分の粒子(コロイド)に太陽光がぶつかって拡散する現象が、
人間の目には「乳白色」「薄い青」などに見えるといわれています。
温泉に深さがあるほど、光の拡散が起こり色がわかりやすくなります。
真っ白に見える露天風呂の湯を手ですくったときに透明のお湯に見えるのは、
手の中では光がそれほど拡散しないからです。
朝と夜、晴れの日と曇りの日、季節によって太陽光の変化とともに温泉の色も違って見えます。

温泉の色の変化を考えていると、一緒に赤ワインの魅力的な色のことも思い出します。
赤ワインも熟成中に色が変化していきます。
この色の変化はワインに含まれるタンニンやアントシアンニンといった色素が作り出すコロイドの変化によって変わるといわれています。
赤ワインを光に透かした時の魅惑的な色は世界中の人の心をときめかせています。

地球から湧き出た温泉の色の変化を楽しんだあとに
人間が作り出した赤ワインの色を楽しむことができる。
そんな時は心からしあわせだな~、と感じます。

温泉の効能だけでなく、ぜひ湯色も楽しみたいですね。

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この記事を書いた人

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