思い通り行かないことを楽しむ
赤ちゃんとの旅行は不安の連続。
計画通り行かないことばかり。
知らない場所でエルゴの中の赤ちゃんは泣いていて、頭の中はオムツ替えの場所探しやバスの時間がぐるぐる大混乱、でも表情はさも現地人かのように余裕あるママのふり。
日程を消化するのがやっとな旅から無事に帰って来れたら大成功。
観光地も満足に堪能できず、何しに行ったんだっけと落ち込むこともあるけれど、
見た風景、匂い、現地の人との会話、
ただ通り過ぎたあの道が心にのこる。
思い通りに行かないことを楽しんで行こう。
行き先はアイスランド、レイキャビク。
目的は世界最大の温泉ブルーラグーン。
治安よし、移動はバスツアー、赤ちゃん6か月過ぎて健診すみ。
その時住んでいたヨーロッパの国から直行三時間、いける。
温泉行くぞー!
と行ってみたらそこは島全体火山。
お手軽バスツアーで市内を出ると圧倒的火山感。
黒い岩石にしぶとい生命力の苔、草、そして羊。
ところどころ噴き出る噴煙。
根の張れる高い樹木は見当たらない。
伊豆大島三原山の風景と似ている。
そんな景色に感激していると連れて行かれたのはここ。
地球の呼吸と呼ばれる間欠泉。Geysir。ダイナミック。
大小様々な呼吸。
赤ちゃん間欠泉もありぽこぽこ元気に吹き出している。
ギャウと呼ばれる地球の割れ目、深い。
今もなお広がっていると言われる横を歩く。
そんな割れ目に氷河から溶け出す水が落ちていく迫力あるグトルフォスの滝。
黄金の滝と呼ばれるツアーの目玉の一つ。
地球の内部のことを考えることのできる壮大な滝
を、
見過ごした!
なんで?私なんで見逃した?!
楽しみにしてたのに!
赤ちゃんと本を読むのに夢中になってもじゃもじゃ金髪のガイドさんの話聞いてなかったよ!
お昼休憩の場所だと思ってたら滝だったよ滝!
気がついたのは出発の10分前。
ここ滝じゃね?
あそこまで行けなくね?
走れば行けるかもだけど赤ちゃん抱っこして無理じゃね??
私のマイナスイオンは?
おわった
傷心の身で満足げな他の参加者を迎える。
…
しょうがないじゃん。
おむつ替えできたしよかった。
お土産あってよかった。
雨降ってるし休憩所あったかかったしよかった、よかった。
よかった確認を繰り返しても心の傷は深く、再訪を誓う。
他にも地熱発電所、教会など盛りだくさんで
ゴールデンサークルツアー大満足。
ちょうおすすめ。
火山、温泉のことばかり気になって、街のことは全然調べていなかった。
予想外に街の散歩がスパイシーで楽しい。
レイキャビクはとてもカラフルでかわいい街。
街のシンボル ハトルグリムズ教会から望む家々は色とりどりで遊び心満載。
蛍光黄緑の家、赤地に黒い窓枠湘北の色、スカイブルーに白い屋根、屋根にユニコーンの置物、カラフルな壁画、家ってこんなに自由でいいんだ
ニットの街らしくサインポールもニッティング。
散歩が捗る。
寒さと付き合い、順応する生活
観光のオペレーションがスムーズ。デザインされている。
人口37万人、1人あたりのGDP世界8位、幸福度ランキング世界3位。
限られた資源、限られた人材、選択と集中と覚悟。
白夜、オーロラ、火山の中に入れる、氷河の洞窟
唯一無二のアクティビティ豊富
卵1パック700円
サンドイッチ1000円
それでもある、将来への安心感
人生の選択の自由、他者への寛容度
歩きながら、自由だなぁとしみじみ思う。
夫よ、自由にさせてくれてありがとう。
最終目的地。
行きます行きます、ブルーラグーン。
何もない、ここにリゾートをつくる覚悟。
エントランスまでにシリカの温泉?水たまりがあちらこちらに。
赤ちゃん用にバンボ、腕につける浮き輪は備え付け
車椅子の方を介助しているところも見られた
温泉には貸し出しベビーカー横付けできる。
目と目もしくはテレパシーで会話する0歳児。
母同士は写真の取り合いっこ。
ぬるめのお湯はずっと浸かっていられる。
家族みんなで楽しめるリゾート。
青みがかった乳白色が異世界に連れて行ってくれる。
ここにしかない景色。
溶岩大地に含まれるシリカ(SiO2)。
温泉の主要成分: Minerals, algae, and silica
ミネラル、藻類、シリカ
湯に浸かりながら来てよかったと心から思う。
大きくなった子を早く、早く、と急がせて声をかける今
あの時の子を思い出し他人の赤ちゃんを愛おしく思う
私はただ、早朝の北極海の冷たく優しい海風と、顔に触る赤ちゃんの産毛の感触が忘れられない。
このポエティックな旅行記は2014年にアイスランドを旅した時のもの。
今年最後の投稿として、原点ともいえる旅行記を載せてみました。
みなさま、よいお年をお迎えください。